創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(388)ユージン・ケイス氏との隔靴掻痒のインタビュー(3)


 ユージン・ケイス氏
 パートナー, コー・クリエイティブ・デイレクター
 ジャック・ティンカー&パートナー(当時)


ぼくは、広告の世界では、家電メーカーの宣伝部で8年間、制作プロダクションで4年間、そして、自分で起業した制作プロダクションの運営を6年間やり、40歳代に至りました。米国の広告代理店のクリエイターたちとのインタヴューは、30歳代の後期に行ったので、どうしても、質問がクリエィティヴ分野に限られました。いまおもうと、広告代理店のクリエイティブ部門の環境と、制作プロダクションの運営では、相当な開きがあることを、つい、忘れていたようなので反省しています。


仕事の始まりは、情報、情報、情報


chuukyuu 「あなたの代理店では、コピーライターはアカウントを持ったらまずどように働き始めますか? コピーライター、アートディレクター、マーケティングマン、それにリサーチマンとの作業体制はどのようになっていますか?」


ケイス氏 「どのアカウントにも、3人1組のチームができます。はじめは、ライター、アートディレクター、それにアカウントマンの3人です。
この人たちは、ふつう、まずクライアントに会いに行くことから始めます。
どのようにしてつくられ、何が長所で何が欠点か、競争品は何か、またその長所と欠点は? そしてそれをつくっているのはどんな種類の会社か---など。
最初は、情報、情報です。
そして、そこではじめて書きはじめるのです。
私たちの代理店の共同体制は、この3人をとにかく結束させることにあります。そして、自分たちが共同で仕事をしていることを自覚させるのです。そして、もし、この結束がうまくいかないと、多くの場合、みんなが苦労することになります。ですから、もしこの結束がうまくいっていないことに気がつくと、彼らは私たちのところへやって来て、『このチームはどうもうまくいきません。変えてください』といいます。
そこで私たちは討議し、どこを変えるかを決めるのです」


ジャック・ティンカー社を訪ねた時の私の印象では、この代理店はまだそれほど大きくはないので、社員みんなが顔見知りであり、友人同士---といった感じでした。けれども、単に顔見知りというだけでは、うまくいかないこともあることは当然です。
チームを組むためには、気が合わなければならないのです。


>>(4)ロックフェラーを戯画したコマーシャル

【chuukyuuの自著宣伝】お許しください。
最後になるはずの73冊目の本です。(今日あたり、発売中、のはず)



本の帯のことを、腰巻ともいいます。 下半身を隠しているからですね。
今度の本では、7通りの腰巻を提案し、2通りだけ 容認されました(前例を破るのはいつでも困難)。

赤コシマキ 青コシマキ どちらがお好みのコピーでしょう?
あなたのコメントがいただけると、すごく参考になります。


腰巻をはずすと、
Nobody's perfect. 「完璧な人間なんか、いやしない」



映画『お熱いのがお好き』のラストで、女装してギャングから逃げているジャック・レモンに惚れた金持ち爺さんのジョー・E・ブラウンに、レモンが「タバコ吸うわよ」「浮気するわよ」と抵抗するが、爺さんは「かまわん、許す」
そして言う。


"Nobody's perfect."


和田 誠さん『お楽しみはこれからだ』(文藝春秋)に教わりました。
DDBロスのクリエイターのロード・サイン(屋外看板)から取った写真と添えられたコピー(?)です。