創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(368)ボルボの広告(23)

あと、1,2回でボルボを終えます。新書版254ページですが、なにしろ40年も前の記述ですから、3分の2は、やはり、古くなっていて、きょうの興味を引かないとおもいました。「早く古くなるもの」の代表がファッションと広告ですが、引用しているのは、それでも持ちこたえている「広告」のつもりです。自分がたずさわるなら、どこかに「古くならない部分(DNA)」を埋めこみたいもの---そうでないと、人生がはかなすぎます。


>>『ボルボ〜スウェーデンの雪と悪路が生んだ名車』目次


第4章 「世界最高の安全車」といわれるために
主任テスト技師に安全性を聞く

安全性論議の前から

  • 暖房と換気装置、ブレーキ、ロードホルディング、ステアリングほか、エンジンと動力変速機、その他

昨日のつづき)


ミニ・スカートで乗っても… 

(3日間にわたって分載した)以上の80項目が、具体的にどのように威力を発揮するかを「ロード&トラック」誌の記者ヘンリ・マネイの文章を借りて記してみよう。

彼は「ボルボのために働いているのでもなければ、いままでに一度もボルボを所有したこともない」と、まず宣誓をしてから、144Sの単体構造について、

「新しいボディの型が、大きな薄板金を数少なく熔接する」ので、「広いガラス面の確保のみならず以前にも増して頑強になっている」こと。
「たとえば、ボディ・サイドがたった一つの型からできているのでドアもきちんと合う」し、熔接部分が少ないので「ホコリが攻撃をしかけてくる裂け目も少なくなった」ことをあげている。また、ドアは90°に開くのでミニ・スカートでの乗り降りも苦にならず、安全ベルトを着用してのスイッチ類の操作は、「イェーテボイのだれかが長い時間をかけて、消費者のために考え出したかのよう」にラクにできるという。

さらに彼は、座席のために大きなスペースをあてて、米車の座席を世界最低のものときめつけたあと、公式に最高とされるのは「心もちソフトではあるが、ポルシェやシトロエンバケットとして採用されているルータースのもの」だが、いまでは、ボルボ144Sのそれが「やや固め」ではあるが、彼としては「最高」に思えると激賞。
「ほかの車も、いつかはこれほどすぐれたブレーキを備えるようになっ七ほしい」といった言い方でブレーキに言及して、アルフアーロメオのドラムーブレーキには勝てないかもしれなが「やや固め」ではあるが、彼としては「最高」に思えると。

「ほかの車も、いつかはこれほどすぐれたブレーキを備えるようになってほしい」といった言い方でブレーキに言及し、アルフア・ロメオのドラムーブレーキには勝てないかもしれ名が、「レースで開発された」ボルボのディスクブレーキは、たいへんすぐれており、単に流行を追ってディスク・ブレーキを使っているのではない…と、暗に他の車を皮肉っている。

それとともに、ツイン・サーキット・ブレーキ・システムに触れ、油圧管の一つが故障したとしても第2のシステムが作動し、普通のブレーキの80%の力で効くボルボの慎重な配慮を特記する。「一つが故障すると、80%も効果を失ってしまう車が多いというのに---」


ロードホルディング

マネイの検証は、ロードホルディングから接地面積が広いので「恐るべき横すベり」が避けられる大きな車輪、そして「とうていこわれそうにもないエンジソ」の燃費率の良さに及ぶ。

ロードホルディングについてマネイは「ラリーやレースの経験から得た」ものだと書いているが、ボルボ側の「まるで道路へくっついたかのように」と題したボルボ売店向けの文書には、
「車体懸架装置(サスペンション)のほか数多くの個所の開発のために、大がかりな改良を行なった。ゴム軸受(フッシング)、特別に長いサポート・アーム、後車軸(リア・アクスル)のためのロッド、そしてこの車のために開発された緩衝器装置(ショックアブソーバ・システム)などによって一歩進んだロードホルディングを得ることができた」と書く

ハンドルの切れについて、「プロダクト・エソジェアリソグ」誌は「50/50の重量分布、低いロール軸、後車軸の適切な位置などで、この車のハンドルの切れは非常に良い」と報告しているが、一方「ロード&トラック」誌の走行テストの結果は、「以前の快適で軽かったハンドルを、ちょっと力が必要かと感じるぐらい重めの方式に変えてしまった---ハンドルさばきの容易さを犠牲にして、極端なほどの機動性を目差していることは明らか」だという。
144Sの操舵歯単比(ステアリング・ギア・レシオ)は17.5で、ハンドルは口ックからロックまで4回転。それほど重いという数字ではない。


安全性---当然の結果

マネイが、原稿用紙にして50枚近くも費やして書いた文章の中で、もっとも力があふれているのは「安全性---それは当然の結果」と小見出しをつけられた章であろう。

「安全な車をつくる第一歩は、ロードホルディングの良い、頑丈でしっかりした自動車を設計することである。もしそれに失敗したら(そんなことは断じてないのだが)、次にすべきことは、折れ曲がったり、割れてしまったり、座席に突っこんでしまったりすることのない強いボディを設計することである。ヨーロッパで数多くのラリーを見てきたこの数年間に、転覆してもエレガソトさを保っている車を、私は見ることができた。ボルボとサーブ(両車ともスウェーデソ製)が、これまでは最高にエレガソトさを保っていた」
彼の表現にしたがえば、「ボルボは、国会がある日突然に『安全性』という言葉があったことを思い出して大騒ぎを始めたのよりもずっと以前から、その車に安全性を組み込んでいた」からであるということになる。

「次になすべきことは、ガシャンとやったときに、乗っている人間の怪我を小さくするための配慮をやること。ボルボは、パッドを十分に使い、その上、ステアリング・シャフトはオフセット(食いちがって接続)されているので、正面衝突や追突された瞬間にオフセットがはずれてシャフトとハンドルが前に倒れ、運転者の胸を安全に守るように考えられている」つづいてマネイは、3支点安全ベルトは、このタイプのものでは「最高のもので、シート・べルトを装備するとしたらこの式のものにすべきだ」と断言している。
つづく


〔非文明的世界--シリーズ〕

ボルボ164

非文明的な世界のためにつくられた、
文明的な車。


40分もの出国手続、えんえん6時間にわたるフライト(キャンセルされなかったとして)、そして2時間もの荷物の遅れ。やっと自分の町にもどって来た。
こんな時、冷たいシャワーと奥さんの暖かい抱擁があれば何も言うことなし。
でもまず、家に帰りつかなければなりません。
そんな時こそ、ボルボ164で空港からお出になることをお薦めします。
たとえラッシュアワーの真只中に到着しても、164の自由に調節のきく皮張りのシートが飛行機で疲れた背中をやさしくいやします。そして通風口が10ヶ所もあるエア・コンに、身長2m近いドライバーでも楽々の広々としたレッグ・ルーム。
また真夜中に到着しても、164は4輪ディスク・ブレーキ、衝激を吸収するフロント& リアエンド、頑丈なユニット・ボディで深夜の危険から守ります。
日曜日に到着して家に着くまでのエネルギーを入れるガソリン・スタンドが開いているかどうか心配する必要がありません。最近の政府調査で、164は同価格クラスの米国産車のほとんどより燃費が50%以上すぐれていることが立証されています。
ボルボ164ならエコノミー性を備えたファースト・クラスの旅ができます。

ボルボ

媒体:『U.S.ニュース&ワールド・リポート』 1973年5月22日号


The Volvo 164

A CIVILIZED CAR BUILT FOR AN UNCIVILIZED WORLD.


After a forty minute security check, a six hour flight (assuming it wasn'tcancelled) and a two hour luggage delay, you arrive back in town needing nothing more than a cold shower and a warm embrace from your wife.
But first you have to contend with getting home.
Which is why we~suggest that you take off from the airport in a Volvo 164.
If you've landed in the middle ofrush hour, the 164 will comfort you with eminently adjustable leather eminently adjustable lether-faced seats to give your back the support it's been aching for. As well as with ten-outlet air conditioning and ample legroom for even a 6'6" driver.
If you've landed in the middle of the night, the 164 will defend you from late-night revelers with four-wheel disc brakes, impact-absorbing front and rear ends and anenormously strong unitized body.
If you've landed on Sunday, you
shouldn't have to pray for an open gas station to give you the energy to get home. Latest government figures show the 164 gets about 50% more gas mileage than the most popular domestic luxury cars in its price range.
In the Volvo 164 you travel first class without sacnficing economy.

VOLVO