創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(304) [クリエイティブの核心](9) by Bill Bernbach

「おや、シーヴァスの広告スタイルが変わったね。アートディレクターが替わったのかね?」疑問は正しいです。1977年に、Charles Abrams に替わったようです。しかし、シーグラム酒造社がDDBのアカウントになった当初の数年間は、瓶が主役のスタイルではなかったのです(女性の影絵みたいなのを一例として掲示しました)。「瓶が主役のアイデアにきまったの?」 それは知りません。ただ、気分転換もあったかも。4人のコミカル・イラストレイターに絵が描かせました。カラー広告料の分をイラスト費用にあてたのかな? たぶん、コピーを渡して描かせたのだとおもいます。コピーライターは Geroge Rike と Haward Erockestein 。4人のイラストレイターの絵が『58回N.Y.ADC年鑑』に載っていたので末尾に転載。コピーは読み取れません。




「優勝したら、シーヴァス・リーガル。
敗けたらシャンペンで我慢してもらおう」


(箱の側面はシーヴァス・リーガル 輸入シャンペン


art director:Chales Abrams
copywrier:George Rike
artist:Charles Saxon

掲載誌:『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』1977年10月2日号




"If they win the championship, it's Chivas Regal.
If they lose, they'll lose, they have to settle for champagne."


New York Times magazine, October 2, 1977

上の広告の10数年前に、リバー・カッツ・パチオーン代理店がつくったローエンブロイ・ビールの広告。



ローエンブロイがきれていたら、シャンペンをご注文になれば---




If they run out of Lowenbrau---order champagne.


スコッチの種類をききわけることのできない人でも
やっぱりシーヴァス・リーガルがいい
とおっしゃいます。


これまでにシーヴァス・リーガルを味わったことのない方でも、シーヴァス・リーガルはとてもすばらしいスコッチと確信している人がたくさんいらっしゃいます。
けっしてだれも傷つけをい、ちょっとした名誉ですね。
でも私たちは、もっとたくさんの人に自分自身の判断に頼っていただきたいものだと思っています。
必要なのはたったの2ドルなんですからね。2ドルでリーガル(注・帝王のような)でないウイスキーとシーヴァス・リーガルとが区別できるんです。
あなたやほかの多くの人がいちばん口当りのいいスコッチと信じていらっしゃるものをやめろと言っているのではないんです。ためしてごらんなさいっておすすめしていだけなんです。
12年もので、ストラシスラ・グレンリベット醸造所(スコットランドで一番古い)の一級品ウイスキーの仲間。
目下のところ、2ドル余計には---とおっしゃるんでした、らもう少し安くいける方法を教えてさしあげましょう。
最寄りのバーを訪れてシーヴァス・リーガルを一杯やってください。そうすれば、スコッチの種類をききわけられようになります。


スコットランド系じゃないけど
シーヴァス・リーガルが大好き」




People who don't know
one Scotch from another
still prefer Chivas Regal.


A lot of people are convinced that Chiyas Regal is a great Scotch, even though they've never tasted it.
Now a little fame never hurt anyone.
But we do wish more people would rely on their own judgment.
All it takes to be a judge is a paltry $2.
That's what separates a bottle or Chivas from less Regal whiskies.
And it really isn't much of a barrier between you andwhat many believe to be the smoothesr Scotch of all.
A 12-year-old, into which go prize whiskies from our Snathisla-Glenlivet distillery. (Scotland's oldest.)
But if you feel an extra $2 is too much at the present time, we have a less costly suggestion.
Visit your nearest bar. Sip a glass of Chivas Regal.
Then yo know one Scorch from another. "


"I'd adore Chivas Regal;""
"even if it weren't Scotch."


The New Yorker, October 10, 1964

叱っている時間はない

わが社のスタッフ、わが社出身のスタッフは、広告界でもトップクラスにはいると自負している。 しかし、その背景にはわが社のスタッフは、血のにじむ努力を日夜続けているということも認識していただきたい。どのメーカーのマーケテイング部員でも、たとえ彼自身が立派なクリエイティブ・マンであったとしても、自分の仕事をし、必要な情報を提供したうえに、将来一流のクリエイターとなる可能性のある数少ないコピーライターやアートマンを育て、教え、 叱り、鍛え上げるだけの時間的な余裕のある人はいない。
私が教わったある歴史学教授は、世界で最も自由なものは列車だとよくいっていた。いくらでも速く走れる。しかし、決まった方向にしか走れない。クリエイティブ・マンのためのレールを敷いてやるのは、われわれ代理店とクライアントのマネジメントの責任である。列車が走るためのレールを敷いてやらなかったから、列車はなんの役にも立たないとはいいたくないものだ。
クリエイターの問題を明白にしてやるべきだ。彼らに彼らのオーディエンスが何であるかを説明してやるべきだ。そのオーディエンスに何を伝えるべきかを教えてやらねばならない。
彼らが自分のクリエイティビティを磨くために必要な情報を提供せねばならない。もしこのような鍛練に耐えられない人は見放すべきだ。もし耐えられる人なら、きっと正しいメッセージをより効果的に伝えることができるようになるだろう。より少ない広告で、より大きな効果を出すことができるだろう。
なぜ繰返しに重点を置く必要があるのだろうか? ムダが多くて金もかかる方法である。それよりも、話の内容を正しくとらえ、それをクリエイターに鋭く、巧みに、印象深く表現してもらうことだ。
注目を集めるにはこの方法がよいのだ。


chuukyuuアナウンス】

明日は、最終回
  人間、この残酷な生物


コミカル・イラストの競作

art director:Charles Abrams
copywriter:George Rike
     :Howard Brookstein

artist:
Charles Saxon
Mischa Richter(引用の広告担当)
Whitney Darrow,Jr.
Frank Modell

左下の分;
”Only Chivas Rigal! It's in the contract"
客席はタキシードの紳士と盛装の淑女たち。舞台の人は何者? ぼくの知識では訳不能。どなたかヘルプ。

右下の分;
 "My agent says it'll enough to keep me in Chivas for a year."
鬚の男は作家かなにかですかねえ。彼のエイジェントに1年分の仕事をきめられたとかなにか、ですか?