創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

[効果的なコピー作法 ( 3-4)

なんどもお断りしていますが、『効果的なコピー作法』はぼくが32歳のとき、しかも日本デザインセンターに、コピー・チーフとして在職していた時期に書いたものです。そのころの日本デザインセンターには、田中一光さんをはじめととする錚々たるアートディレクターが10人ほど、コピー・チーフはほかに梶祐輔くん、蟻田善造くんがいました。べつにアートとコピーが対立していたわけではないのですが、専務が亀倉雄策さん、重役に原弘先生、山城隆一さんなどがいらして、デザイン優先の気味が濃厚でした。それで、アートとコピーは対等に、一致して広告をつくるべきだというDDBが提唱していた方式をそっと輸入したわけです。このあたりの事情は、同時代を生きた人でないと、推測してもらえないかもしれません。つまり、ぼくは東京アートディレクターズ・クラブに入らなかったし、入れてももらえなかった。コピーライターとアートディレクターは機能が違うとおもっていたからです。クリエイティブ・ディレクターズ・クラブなら入ったでしょうがね。当時、米誌『アート・ディレクション』をもっとも熱心に講読していた一人だったとおもいます。


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スコットのエキスパンダ・クラフト封筒用紙が出るまでは、
箱に入れて送っていました。


ほかの薄手な用歳の封筒に入れた場合、ボルトのような堅いものは、郵送の途中でなくなったものです。
スコットのエキスパンダ・クラフト封筒用紙は、まったく違った薄手の紙です。丈夫です。すごく丈夫なので、箱や布袋の代用にもなります。
強くぶっつけても、かなりな振動にも、影響をうけません、エキスパンダ・クラフト封筒用紙は、衝撃をうけるとたわみ、すぐに元にもどります。
こういう堅いものを封筒に入れて送った方が安上がりの場合には、どうぞお試しください。
スコットの考えは、こうです。製品の晶質は、家庭用・業務用の別なく優秀であるべきだ---と。そうでなければ、あなたがお求めになるハズがありません。




Before Scott Expanda-Kraft envelope paper
you had to ship this in a box.


In any other lightweight envelope paper a hard object like a bolt would have been lost in the mail.
But Scott Expanda-Kraft envelope paper is a lightweight paper that's entirely different. It's tough. So tough that Expanda·Kraft often replaces the box or the Cloth bag.
Even a hard whack or a good jolt barely affects its original strength. Expanda·Kraft envelope paper gives with the' shock. Then recovers.
So, if you find it more economical to ship those hard objects in an envelope, do it. Specify Scott Expanda-Kraft envelope paper and ship with confidence.
At Scott, we feel this way about paper. Whether our paper is for the home or for industry, its quality must be the same: superior. If it isn't, you can't buy it.
Scott Paper Co., Hollingsworth & Whitney Division, Philadelphia 13, Pennsylvania.


テーマの発見


広告の中心テーマをみつける問題は、じつは、広告制作の中で、もっとも困難な現実の1つです。
コピーライターにとって、ヘッドラインをつくる作業も骨のおれる仕事ですが、決められた広告の目的にそった、りっぱな中心テーマをみつける作業は、さらに骨がおれる仕事といえましょう。
なぜなら、ケーニグ氏のことばをもう一度引用しますと、「ページ全体を支えるような」テーマでなければならないからです。
制作にあたるアートディレクターとコピーライター、その他、場合によってはもっと多くのタレントが集まってテーマの発見につとめるか、コピーライターが単独で発見につとめるか、その形態はさまざまでしょうが、要するに、「ページ全体を支えるような」ものでなければならないのです。
ここでふたたび、ケーニグ氏のことばが重大な意味をもってきます。
すなわち、「どうやってよいコピーライターになるか? 自分自身をすぐれたアートディレクターにすることだ」ということばです。
コピーライターに、アートディレクターを兼ねよ---というのではありません。
第41回ニューヨークADC展の審査評が『アート・ディレクション The Art Direction』誌1962年5月号に載っていましたが、 「ストーリーもレイアウトも、ビジュアルな目をもったコピーライターの優れたヘッドラインによってよくなる」ということばの中の「へッドライン」を「テーマ」に置きかえてみた場合の、その辺の意味くらいに判断してください。
ということは、テーマというものは、コピーだけにかかわるものではないということです。
したがって、中心テーマをさがす場合には、たんにことばや文句のみでなく、ビジュアルな面からさがしたいということです。スコットの(昨日の)例---


J.ユナイタスが、このポールを、スコットのエキスパンダ・クラフト紙に蹴りつけました。
紙は、はねかえしました。


などは、明らかにビジュアルな面からさがしだされたテーマといえましょう。
さて、具体的に、どうして中心テーマをみつけるか。これは、その人の資質と才能と経験によると思います。
また、その人その人によって、アプローチの仕方にクセがあり、公式みたいなものは殻に立ちません。多く先輩の一致したやり方は、ジョージ・ロイス氏の「私たちは原理にたよらない。私たちは製品を研究し、そこでねばり、そして議論を戦わすよりもまず、広告をつくる」 (注))ということばに代表されると思います。
ついでながら、このロイス氏は、ケーニグ氏とコンビを組んでいる、ことし32歳のアートディレクターで、私は彼の広告哲学を注目しています。

(注)"print"誌 1961年11/12月号


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