創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(295) [シーヴァス・リーガルの広告](6)

ほんの数日前、アクセスしてくださった方の延べ人数が5万をこえました。このブログを立ち上げたのが去年の1月下旬でしたから、1年と9ヶ月半ほど---650日たらずです。この数字が多いのか少ないのかはしりません。タレントもののブログではないから、ブログ関連はもとより、どの雑誌もとりあげてくれません(宣伝分野の専門誌すら---)。その割には大きな数字---と自讃はしていますが。そうそう、ページ・ヴューが13万を通過するのは明日あたりです。この数字についての多寡も知りません。とにかく、クリエイティブ畑の方は、何十万といらっしゃるはず、また、この分野を目指していらっしゃる若い方も世界には何百万人---のはず。その人たちの共通の場、資料の場となることを念じつつ、力のあるかぎり、老骨に鞭うつつもりです。ご支援、ありがとうございます。

トクン、トクン


パーティーが終わってホストは、ほとんど空になった教本のスコッチの瓶がでることがよくあります。
残った酒を自然と1本のに瓶に集める傾向があるようです。どの瓶にでしょう?
モラル性をうんぬんするつもりではありません(シーヴァス・リーガルがよくこの名誉にあずかっているってお世辞を言っていただいているのですから)。
でも、どうぞなさらないでください。だれもだませないのですから。スコッチの味を知っている人はね。
シーヴァス・リーガルは、たいへん独特なウイスキーです。たくさんの人がシーヴァス・リ-ガルがあらゆるスコッチの中でもいちばん口当りがいいと考えていらっしゃいます。
スコットランド高地地方でもいちばん古い醸造所のグレンリベットの一級品のウイスキーでつくられています。
どの一滴一滴をとっても12年はたっています。
シーヴァス・リーガルとほかのスコッチとの違いがわかるようになるには、どれくらいの習練が必要かとよくお尋ねいただきます。
お近くのバーで1杯ど注文なさって、水で割ら
ないですすってごらんになれば1回で分かります。
秘訣はそれだけ。

あなたの酒棚のシーヴァス・リーガルの減り加減は、
どれですか? 〇印をつけてみてください。


(ことシーヴァスのこととなると、あなたの記憶力もたいしたものですね)




Circle the bottle of Chivas which comes closest to the level of the Chivas in your liquor cabinet.

にもかかわらず彼は、自分のことをシーヴァス党だと言う。


シーヴアス・リーガルを一杯ひっかけるたびに、それを記録しているんでしたら、あまり楽しくはないはずですがね。
私たちのスコッチを買って飲むこと、それは好気嫌(expansive)になるためのはず。
高価(expensive)だから?違いありません。
シーヴァス・リーガレルはほとんどのスコッチと比べて2ドルは高いです。それより少ないお金では私たちのスコッチはお手にはいりません。
ストラシスラ・グレンリベットの12年ものですから。
ほんとうのシーバヴァス党にとっては、これが人生における一つの条件なんです。だから1杯・2杯---と数えません。
幸せを数えるのです。




And he calls himself a Chivas drinker.

払うのはあなただと分かれば、どんなスコッチ党でも
シーヴァス・リーガルを選ぶってこと、ご存じ?


スコッチXに決めていらっしゃる方でも、私たちの例のずんぐりした瓶を見て、その忠節を変えられることが多いのです。
残念なことに、このシーヴアス・リーガルへの転向は、あんまりふところが暖くないときはそこで止まってしまうきらいがありますが---。
1瓶につき、2ドル余分に払わなければならない、これが問題なのです。
(もちろん、その方々の多くは、シーバスが比類のないものだ、ということはよく知っていらっしゃいます。12年ものでスコットランドでいちばん古い醸造所でできる、きわめつきのグレンリベット・ウイスキーだということを)。
あなたがこの次に、いま私たちの言っている現象に出合ったら、1杯当りにすれば2ドルなんてはんのわずかのものでしかないということを説明。




Have you noticed how many Scotch-drinkers prefer Chivas Regal?


The New Yorker, Jun 27, 1964


「あと、1杯---」はお酒好きの常套セリフですが---シーヴァス・リーガルのシリーズはとりあえず終了します。モノクロの図版が、1日も早くカラー図版にかわることを祈念しつつ。