(279)DDBが選んだDDB ・・・【DDB紹介[終末宣言]】(8)
土・日曜日には、アクセス数が週日の3分の2とか、日によっては半減する。「休日ぐらいパソコンから離れたい」というクリエイターが少なくないらしい。そりゃあ、わかる。アイデア商売をしていると、24時間をそのためにあててるんだから−−−寝ても覚めてェも、の歌詞どおり。
それで困った。きょうのボブ・レブンソン氏のインタヴューは、クリエイティブに携っているいる人にとって、実のある告白がなされている。アクセスの少ないきょう、アップするかどうか悩んだ。それで思ったのは、これは、無報酬の好意ブログなんだ。こっちに責任はない。欠かさないで読み、自分の体内に入れ、いつかのために咀嚼・検討をしている人だけが勝利者になるのだ。土・日に精神まで休む人はほっとけ。DDBのあの和気藹藹たる厳しい自己鍛錬とは無縁の衆なのだと。(突然、厳しくなる性格なので、ついていけないと、辞めてった人数のほうが多かったなあ)
「VWはVW調」「モービルはモービル調」 「ELALイスラエル航空はELAL調」「レブンソン調なんか、ない」とお感じになったら、今日のテキストのタイトル最上段右手「」をクリック→★。 山あいの村の夜空の満天の星の数★★★★★★★★★ほど。いまは、これだけがつづける励みなんですから。
「クライアントには、彼らの欲っしているものを与えよ。彼らの期待するものではなく・・・」
クリエイティブ部門重役会副会長
ボブ・レブンソン ROBERT(BOB) LEVENSON
問:あなたのコピーの調子は暖かく、控え目で、不敬な所があって、ユーモラスで、人間的で、いわゆる「DDB広告」調を作り出した要(かなめ)のようなところがあると思いますが。
レブンソン:それに対しては「ありがとう」とお答えするしかないですね。実際、あなたにお会いできてとっても嬉しいですな。
それじゃ、コーヒーをお飲みください。私は仕事にもどります。本当のところ、おほめにあずかって、ありがとう。
しかし、DDB調子は私がここへ来る前からあったんですよ。私はここに来てまだ20年そこそこですから。
問:しかし、あなたのコピーにはどこか特別なところがあります。
レブンソン:あなたがおっしゃってるのは、多分フォルクスワーゲンの広告でしょうが、確かにあれには一種の調子かあります。
しかし、あれはボブ・レブンソン調、DDB調というよりり、フォルクスワーゲン調なんですよ。
ELALイスラエル航空の広告にも調子はありますが、あれはELAL調。
モービルの安全キャンペーンの場合はあのクライアントとあのキャンペーンの調子ですし。
サラ・リー(菓子)、ファイナル・ネット、その他のクライアントも全部同じことです。
どのキャンペーンも独自の色あい、テクスチャー、視点、ボキャブラリーがあるんです。
問:VWの広告の創始者ではありませんね?
レブンソン:ええ。それに私にはとても追い抜けなかった広告がたくさんありますよ。
「小さいことが理想」、「不良品」とかいったのをどうやったら負かせますか?
しかし声とかボキャブラリーの調子は、私が手を染めてから少し鋭くなったとは思います。
当時のキャンペーンが目指していたものを反映していましたから。事実を揶揄したような感じ、反体制的に、「フォルクスワーゲンは唯一の知的買物」といった調子で表現しましたからね。
ヘルムート・クローンが後年私にとてもうがったことを言ってくれましたよ。彼が気に入ったのは、あのコピーが私たちがなぜあの広告をやっているかを如実に物語っている点だとね。
問:あなたがなさっている「親愛なるチャーリー」のアプローチについて説明してください。
レブンソン:ここ数年、私はコピーで行き詰まった人びとに「親愛なるチャーリー」から始めるよう示唆してきました。
私が彼らに言っているのは、こういういうことなんです。
君たちが話しかけているのは、その製品については君よりもうといが、じつに聡明な友人だと思い込め。そしてそれをし終えたら、「親愛なるチャーリー」なる冒頭の一行を抹殺しろ、そうすれば少なくともとっかかりはできるだろうと。
実際、白紙から始めるよりずっといいんですよ。
絶対に失敗しません。
問:クリッチックは?
レブンソン:クリッチック(コピーの終りでのひねりのこと)は多分大きなミスでした。
ひどく誤解されました。
でもクリッチックはVWだけで、ELALイスラエル航空、モービルではやりませんでした。
VWには向いているようでした。
人びとは、あの一連のエンドラインを憶えてくれて、「他の車は変わり続けて、同じまま。VWは同じままで、変わり続ける」とか、「1年で出入りする」といった文章は、私が今まで書いたどの文よりプレイバックが多かったですね。
揶揄っぽい言いまわしか、滑稽なエンディングづくりという仕事が始まったという感じです。
広告業界には、意味があろうとなかろうと、とにかく笑いでしめくくらなければ仕事をしたとは言えないなんて感じる人も出る始末。
以来、文の脈絡とは全く何の関係もないくだらないジョークでしめくくるコピーが続出しました。
モービルの安全キャンペーン(22)
「死が2人を別つまで」
訳文と自選のコメントは、[ボブ・レブンソン氏とのインタヴュー](1・2・3・追補)
違うんですよね。コピーを、要旨を再び明らかにする文でしめくくれば、フットライン、セカンド、ヘッドラインの役を果たし、意味をなすのですが、ジョークのためのジョークでは、広告の目的を逸脱し、論旨がどこかへ行ってしまうんですよ。
間:あなたのアプローチは変わってきていますか?
レブンソン:根本的には変わっていません。今だにシンプルできっぱりとしています。
「なぜこれをしているか? 人に何を言おうとしているか?」
まずこの疑問に自らの満足がいくように答えを出さねばなりません。
私が私の仕事ででも、他の人の仕事ででも、求めているのは、さらに「いかにして」を考えることです。
論旨を明らかにするのと、それをいかにおもしろくするかということとは全く別のことです。論旨をより鋭く,浸透力のあるように表現することは全く別のことなのです。
それが滑稽であろうが、悲しいものであろうが、ストレートであろうが、それは関係ありません。要は論旨を明確に伝えられれば、いいのです。
問:でもやはり背後には、「親愛なるチャーリー」があるわけでしょう?
レブンソン:もちろんです。
そして念頭に置くのは、チャーリーが何を知りたいかであって、あなたが彼に何を話したいかではありません。どんなクライアントでも、そして誰でも、関心のあるのは自分の問題であって、あなたのではないのです。
「消費者の利益」という言莱、これはクリエイティブ・ピープルを走らせる言葉ですが、バーンバックや他の偉大なコミュニケーターらが言う、「それは君にとってどんな意味がある?」という言葉と少しも違いません。
問:あなたは数多くのすぐれたアートディレクターたちと一緒に仕事をしてこられましたが、それはどんな感じですか?
レブンソン:まとめて話しましょう。最上のアートディレクターは、コピーライターが誰であるか、アートディレクターが誰であるかということを忘れ、問題の核心にたどりつこうとだけする。そしてそれから・・・そして初めて・・・よく見え、よく聞こえるように作ろうと努める。
常に私たちからのビジュアル・アイデアを歓迎し、そしてヘッドラインづくりにも貢献する。そんな感じです。
問:クライアントはどうすれば代理店からよりクリエイティブな仕事をものにできると思いますか?
レブンソン:簡単です。どんなクライアントでも求めさえすれば、よりよい仕事をしてもらえるのです。
当然私たちは最高の仕事をし、ベストを尽くしたがっているのですから。
しかしどうやったらよりよい仕事をしてもらえるか知っているクライアントがすべてではありませんし、すべてのクライアントがよい仕事であれば安心するというわけでもありません。
私たちの最大の仕事は、クライアントが必要を明確にする手伝をし、作品で安心させることです。
クライアントは私たちと同じくらい安心を欲しがっています。
いや私たち以上かもしれません。
非常に新しいものは非常に恐ろしいものですからね。私たちは常にクライアントに彼らが期待するものではなく、欲しているものを与えなければなりません。
問:あなたは国際部でも仕事をしていらっしゃいます。あちらもここと全て同じですか?
レブンソン:私たちより少し遅れており、 したがって少し進んでいるとも言えます。彼らはまだ私たちが相手にしなければならない難問に頭を悩まされることはありません。
クリスマス・パーティで国際部の作ったTV-CMをご覧になったでしょう。言葉やマーケティング問題を知らなくても、どのコマーシャルも十分に理解できました。
あなたが目標層である製品やサービスはひとつもありませんでした。でもメッセージはあなたに通じでしょう。
十分理解でき、「スゴイ!」と思ったはずです。
あれで私たちが常に頭にたたきこみ、実践しようと努めてきた簡単なことが確認できたはずです。
私たちの場合、諸々の問題が多くの時間をムダに費やしているので、人びとに語りかけ、心に触れるという私たちの本来の目的を見失わせているのです。
問:未だに広告の仕事を楽しんでいらっしゃいますか?
レブンソン:前よりもいっそうね。人びとの既成概念を変えさせるのに、広告が効果があることを発見し続けているからです。
広告はとても強力な存在ですよ。
【chuukyuuサジェッション】このブログの最初の画面の左枠の[DDBの広告]をクリック。
モービルの安全キャンペーン(1)〜(25)をご覧ください。
関連記事:
>>ロバート・レブンソン氏とのインタビュー
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