創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(162)フォルクスワーゲンの広告(64)

おもうのですが、コピーライター(もとい---クリエイター)は、クライアントの信頼なしには、新しい広告の創造はつづけられません。それは、クライアント側の広告の担当部門の方々にもいえます。決まった予算でより大きな効果をあげるために---です。だから、[創造的な環境]の第一の条件は、クライアントの経営陣の信条とセンス---ともいえます。前回(63)や今回のような広告の提案をうけても、「後期高齢者とよべるの車」ってのもあるわな---と笑ってOKをだすような経営者----。




どんなによいものでも終わりがあります。


フォルクスワーゲンとて死にます。他のすべてのものと同様に。
それを信じようとしない人々がいるだけです。
アラバマ州オクスフォードのC・ブルックス夫人もそうです。彼女の'59年型VWは100万kmも走りました。それも2回エンジンを取り替えただけで。
その車ももうすぐこわれるなどと彼女に言ってごらんなさい。彼女はあなたのことを笑い飛ばすでしょう。
このようなオーナーの信頼は、生産時間の100%が私たちの小さなかぶと虫をよりよく働くようにするために使われ、美しく見せるためには1%も使われないVWの工場から生まれるのです(上の醜い写真を見てください)。
売られる前に15,397回もの検査を受けるのはこの車だけです。
決してラジエータもつけませんから、ラジエータの故障もあり得ません。
この車は、車体を保護するために16kgものペンキと腹底部を保護するための鋼鉄板を装備しています。
ですから、死にかかっているこの車を見ても、同情なさる必要はありません。
その車はたぶん、あなたご自身の生活よりももっと健康な生活を送ってきたのです。




All good things must come to an end.


Volkswagens die. like everything else.
Only some people don't believe it.
Take Mrs. Carson Brooks of Oxford, Alabama. So for her '59 has gone over 600,000 miles. And that's with only two engine transplants.
Try telling her the end is near and she'll laugh you right off the farm.
That kind of owner loyalty begins at the VW factory where 100% of production time is spent making our little bug work better and 0% is spent making it look better (see ugly picture above).
It's the only car that's put through 15,397 inspections before it's put up for sale.
It won't give you radiator problems because we never gave it a radiator.
It comes fully equipped with 35 pounds of paint to protect its top and a protective steel bottom to protect its bottom.
So when you see one that looks on its last legs, feel no pity.
It's probably led a healthier life than you have.