創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(130)『コピーライターの歴史』(8)

転載しているそれぞれの章は、広告クリエイターへの励ましであるとともに、広告主の経営陣への助言でもあります。マンビルが言っている、「広告の効果を前もって評価できる原則とテクニックは、自分の広告の効果を増すための科学的方法の発見に興味をもっているすべての広告主へのサービスとなるであろう・・・それらが印刷されて出ていく前に・・・」 現役だったころぼくは、クライアントの仕事を引き受ける時、経営のトップから方針をお聞ききすること、工場を見学することを絶対条件としていた。この章の入力も転法輪(プロデューサー)さんのお力を借りています。転法輪さんに感謝。


『コピーライターの歴史』(8)
リチャード・マンビルの業績


わずか70ページばかりの本が、リチャード・マンビル(Richard Manville)の名を広告界で有名にしました。
この本の題は『成功する広告の作り方と選び方 How to Create and Select winning Advertisements』で、1941年に出版されたものです。
原形は、おなじ年の広告専門誌『プリンターズ・インク』に連載の形で発表されました。
マンビルは、それらの資料をニューエル・エメット広告代理店から得ました。
1938年、同理店の共同出資者ウィリアム・ライデルに会った彼は、「広告から特殊な結果の証拠が調査研究できる」機会を与えてほしいと希望し、仕事と協力を得、それから3年後、『プリンターズ・インク』誌への連載をはじめたのです。
マンビルのこの本は、ほとんどをヘッドラインとイラストレーションで占められていますが、これらの要素を効果的な処理による根本的なコピー真理を提示し、『効果的な広告コピー』(1956年刊)の著書メリル・デボーをして、「これほど根本的コピー真理を与えてくれる本を知らない」と嘆ぜしめています。
マンビルはいいます。
「広告の効果を前もって評価できる原則とテクニックは、自分の広告の効果を増すための科学的方法の発見に興味をもっているすべての広告主へのサービスとなるであろう・・・それらが印刷されて出ていく前に・・・」


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