(87)バーンバック氏、広告の書き方を語る(4)
東京コピーライターズ・クラブ編『5人の広告作家』 (誠文堂新光社1966.3.25)からの転載。
『バーンバック氏、広告の書き方を語る』
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問 やり口って、こういうつもりで言ったんです。あなたがボディ・コピーを書いていたころ、あなた自身がボスの時でも、ご自身の検閲者でしたか?
バーンバック ええ、もちろん。
問 では、あなたはあなたをチェックするのに外部の人、第三の人を必要としなかったのですね?
バーンバック この代理店---DDBで、これが長所だと私が思い、かつまた、非常に誇らしく思っていることの一つは、この代理店の社長である私がクリエイティブ・マンであるということです。
この会社のコピーライターたちの仕事を私が検閲することができるのは、それが、私が、クリエイティブ・マンが今やろうとしていることをずっと経験してきたからです。ですから、彼らの問題もよくわかります。それを通りこしてきたからです。こういった経験をしてきたからです。
私は働いている人たちを拘束し、押しつけるだけの実務家とはちがいます。
私は、この仕事についてかなりよく知っているつもりですが、今でも私は、自分の個性を押しつけてはいません。
私が見つけようと思っているのは、彼らの個性はなんであるか、ということ、そしてそれを育てることです。
ですから、私は、この会社にすばらしく深いタレントの層をもっているのです。すぱらしく広く、変化に富んだタレントを。
なぜなら私たちは、自分たちの個性を社員に押しつけなかったからです。
むしろ、なにか変った目立つものをさがしてきました。非常にユーモアにたいする感覚の鋭い人です。また、非常に素早く、ストレートに問題の核心に入っていける人もいます。彼らはまったく異なった人です。
おのおのの人の個性を効果的に生かせる仕事に向けるべきです。ユーモアの得意の人に、彼のできないような仕事をやらせるのは、私が間違っているのです。これは大事なことです。その人の個性はなんであるかを発見し、それを育てなければなりません。すべての人に同じことをやらせ、みんなを退屈させてしまってはいけません。
問 広告界には、個性をつぶしてしまうような人びとがいると思っていらっしゃるようにとれますが?
バーンバック 誤解しないでください。私は、多くの広告代理店を尊敬しています。
ただ、これが私たちのやり方なんです。支配しない、あまりにたくさんのルールをつくらないということです。
(つづく)
【注】写真はカバーの裏面---左上からレオ・バーネット、デビッド・オグルビー、ロッサー・リーブスの各氏
きのうまでの表側は---ウィリアム・バーンバック、ジヨージ・グリフィンの各氏。
カバー・デザイン:坂野 豊