創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(54)ジョン・ノブル氏とのインタヴュー(3)

    Mr. John Noble
    Vice-President, Copy supervisor DDB Inc.
          (DDB 副社長兼コピースーパバイザー)

自分の作品で好きなのは、VWのTV−CM

Chuukyuu「あなたのお気に入りの広告をあげてください。そして、その理由をお聞かせください」
ノブル「ぼくが気に入っているのは、『ジョーンズ氏とクランプラー氏』とタイトルされているテレビ・コマーシャルです。それは、つぎのような内容です。
隣あったそっくりの外見をした2軒の家があります。彼らはそれぞれ3000ドルずつ持っているとアナウンスされます。ある晴れた朝、2人ともそのお金で車を買いに出かけました。ジョーンズ氏は3000ドルでフォードを買い、クランプラー氏のほうはフォルクスワーゲンのほかに、冷蔵庫、レンジ、洗濯機、乾燥機、2台のテレビ、そしてステレオを買いました。これらのもの全部で3000ドルだったのです。このコマーシャルは、VWを買って倹約したお金でできることのすばらしさといったものなのです。とにかく、ぼくはこれが好きですね。
そして、ぼくのほかの多くの人も、そのコマーシャルが好きだったのです。たくさんの人が手紙をくれて、その中でそう言ったのですよ。
この気狂いじみたおそろしくペースの速い世界で、人びとがみずから手紙を書いて、その中で『私は貴社の広告が好きです』なんて言っている---こんなことが 想像できますか。
ぼくたちは、しょっちゅう、そういう人たちからお気に入りの広告が欲しいという手紙をもらいました。ぼくたちはその人たちに清刷りを送りました。その人たちは手に入れた広告を壁に貼ったりスクラップ・ブックに入れたり、さらには車に貼ったりしているのです。
アカウント・マン(得意先担当者)にとって、これほど嬉しいことはありませんよね。広告ファン・クラブというものを持っているんですから。

参照: 『ジョーンズ氏とクランプラー氏』のコマーシャルのコマ割り


ジョン・ノブル氏とのインタビュー
(1)(2)(3)(4)(了)


DDBのみごとなコピーライターたちとの単独インタヴュー(既掲出分)
デビッド・ライダー氏とのインタヴュー
(1)(2) 
ロバート・レブンソン氏とのインタヴュー
(1)(2) (3)(追補)
ロン・ローゼンフェルド氏とのインタビュー
(1)(2)(3)(4)(5)(了)
フィリス・ロビンソン夫人とのインタヴュー
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