創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

03-40 現場で実例を示すのが最良の教授法

これに対して、アメリカ的教育法といわれているものは、テキストによる体系的基礎教育訓練とその実習の反復で、一定水準まで短期間に引き上げて行く能率的なやり方です。
DDBの教育はどうなっているのでしょうか? 幹部コピーライターのレブンソン氏に聞いてみました。
chuukyuu「若いコピーライターに対するあなたの指導法を教えてください」
レブンソン「昔私は、プラット・インスティテュートという美術関係の大学で教えたことがあるんです。しかし、教室でコピーを教えるっていうことは、あまり効果的ではありませんでした。やはり、コピーというのは、こういう現場で教えるのがいちばんいいと思います。
それから、私は、ニューヨーク大学でも教えたのですが、やっぱりあまり効果がなかったんです。私は、現場で実例を示すというのが、いちばんの教授法だと思っています。これには、疑いを持っていませんね。
現在、私が管理職の仕事を100%やらないで、少しずつでもクリエイティブのほうの仕事を残しているというのは、そういう考えからなんです。ですから、常に新しい感覚を養って行くためには、現場から離れてはいけません。
そのほかには、若い人たちが1本立ちで歩いて行けるように、正しい道の中にはめてやる、そしてそこからはずれないように指導してやることです。ある一定の枠がありますから、そこからはずれて、あまりにキュートすぎる、あまりにシリアスすぎる、あまりに軽薄すぎるというようなことのないように、また、できるだけ簡潔な形で、個々のライターの持っている才能が発揮できるように指導します」
第2部でちょっと提示しておいた、監督者が実作することの是非の解答もこれで出たようです。
→02-03昇格しても実作はやめない