創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

03-24 ビジュアルなセンスを持ったライター

数多くのコピーライターを採用してきたロビンソン夫人は、能力のチェックをどうやったかについて、
「創立当初しばらくは、能力を見て判断するのは困難だったのです。
というのは、才能あるライターであっても、それを実際に表してみせるチャンスがほとんどなかったからです。
今とは違ってましたから。
創造性を追求し尊重する代理店が、今はたくさんあります。
ですから、とてもエキサイティングな広告がつくれるライターなら、すぐに職を見つけることも、高い給料を得ることも可能です。
当時、私が採用時にしなければならなかったことは、言外の意味を読み取ることでした。
つまり、書かれているものを文字どおり受け取るだけではダメで、そこからライターの能力や技術をくみ取らなければならなかったのです。
私が望んだのは、きびきびした文体、伸び伸びした創造性、響きのよい文章を書く能力、シンプルでカラフルで、しかも力強く、わずか数行で人に買う気を起こさせる文章でした。
さらに私は、ビジュアルなセンスを持っているライターを望みました。
このビジュアルなセンスで、彼のアイデアが、彼の自己満足だけのものなのかそうでないのかを知ることができました」

創業以来13年間、コピーライター部門の責任者であるコピー・チーフをやってきたロビンソン夫人の目鏡にかなった人材だけが集められ、そして彼らが幹部ライターとなって、さらに幅広い人材を集めたとわかると、彼女の発言は、大いに意味があります。