03-22 「親愛なるロビンソン夫人様」
次に紹介する入社の例は、あるいは特殊すぎるかもしれません。
けれども、DDBの人材採用の一面を教えてくれます。
幹部コピーライターのパーカー夫人は、DDB創業直後、すなわちDDBがまだ小さかったころに運よく入社できた人ですが、秘書からコピーライターになり、しばらくして「人々の口に、よくその名がのぼっていた」DDBのコピー・チーフであったロビンソン夫人あてに手紙を書いたのです。
「どんな手紙だったのですか?」という私の問に、
「ただ、なぜDDBで働きたいかを書いたの。そうしたら、その手紙が広告文としても十分に通用するものだと、ロビンソン夫人とバーンバックさんが判断してくださって、採用されました。
見てもらうほどのサンプルも持っていなかったし…。
そうね。もし、今まででいちばん成功した見出しは?って聞かれたら、この手紙の『親愛なるロビンソン夫人様』って答えることになるわね」
と笑いながら話してくれました。
また、現在は自分自身の代理店の経営者になっていますが、かつてDDBで働いたことのある(リチャード)リッチ氏(注・ウェルズ・リッチ・グリーン社共同経営者)は、
「私はDDBにはいる前に、ガードナーという代理店に6ヵ月ばかりいたのですが、そこの仕事があまり面白くなかったものですから、ニューヨーク・タイムズの求職欄に自分の広告を出したのです。
あちこちの代理店から返事がきました。
その中の一つがウェルズさんからのものだったのです。
そこで私は自分の作品サンプルを送って採用になりました。」
と、ずいぶん積極的なプロモーションによって入社した事実を話してくれました。