創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

ベター・ヴィジョン協会


40数年前に、アート・スーパバイザーの(レン)シローイッツが、取締役副社長でアート部部長の(ボブ)ゲイジに担当を申しでた(第2部02-01)、ベター・ヴィジョン協会(眼鏡業界によって組織された視力矯正協会?)のキャンペーンの作品の一部(オリジナル・サイズのプルーフを、多摩美術大学で広告制作をおしえていて、このキャンペーンのファンという中島祥文氏に贈呈してしまったので、自著からコピー)。

まず、ピンポケの2枚。

1.

ジョニーはなぜ読めないか?

みんなが賢い子といっているのに、読み方の授業になると注意力が散漫になるのは、黒板の字が読めないからだということを、教師も親も気づいていない。
年に1回は検眼を。

2.

とても損をしながら人生をおくることもあります。
まあ面倒なく過ごせていたら、もっとよく見えることに気づかないでいるかもしれません。
年に1回は検眼を。
(なにしろ、40年前の水着---いまなら、この程度の露出だと、見えなくてもべつにどうってことないかも?)。

3.

これは点字です。「あなたはたった一組の目でずっとやってきたんです。年に1回かそこらは検査してやんなくちゃあ」と書いてあります。

4.

変わったのは針の穴ではありません。

針が意地悪をしているのではありません。
年に一度は検眼を。

5.

彼の手がもう8センチ長かったら、眼鏡はいらなかったでしょう。

私たちは、自分自身をじつにみごとにだます人間です。とくに目に関しては・・・
年に1回は検眼を。


『ニューヨークのアートディレクターたち』(アイデア別冊 1967年刊)
のために送られてきたパーソナル・ヒストリーとCreative Philosophy。

Leonard Sirowitz
AD and Art Supervisor at Doyle Dane Bernbach Inc.
Born in Beoklyn, on June 25,1932.
Majored in advertising design at Pratt Institute, and soon after graduatuion in 1953 entered L.W.Frohlich,a pharmaceutical advertising agency.
Entered Grey Advertising on the NBC account in 1956.
About one year and a half later, left there and worked for the late Bill Golden at the CBS.
In 1957 was ofdered a job to head up the art department of a new television campany, the NTA Television Network.
Joined DDB in 1959.


創造哲学(Creative Philosophy)
読み手を驚かせなさい。感激させなさい。笑わせなさい。泣かせなさい。
彼の知性、あるいは心をじかにいるちなさい。
そうでなければ、彼はページめくり、広告を素通りしてしまうでしょう。
また、彼の眼を広告に止めるだけでは十分とはいえません。
注目がセリング・アイデアから出てこなければいけません。
仕掛けのための仕掛けであってはいけません。
広告命題(selling proposition)が信じられないようなものであったら、その仕掛けは効きはしないでしょう。
そのアイデアは製品についての真実からひき出されるべきです。
人目をひこうとして、つくりものの仕掛けを用いると、読み手はセリング・ポイントの代わりに、仕掛けを記憶してしまうかもしれない危険が生じます。


>>[6分間の道草]ベター・ヴィジョン協会キャンペーンの追補