02-26 アイデアの承認
その点について、パーカー夫人は電通での講演で、こう話しました。
「キャンペーンが誕生すると、コピーライターの上司とアートディレクターの上司、両者の承認を得なければなりません。
担当者がスーパーバイザー自身である場合には、このステップはいうまでもなく、省かれます」(注・前出「クリエイティビティ」)
したがって、彼らは、それぞれの上司の承認を求めるわけです。
もっとも、この例の場合は、「キャンペーンが誕生」したのではなく、その途中の段階、つまり、ラフなアイデアが誕生した段階というべきでしょうが…。
川喜田教授の(7)「情勢判断」と(8)の「決断」の段階(→仕事の12段階)に当たるでしょう。
パーカー夫人の言葉を続けると、
「次に、できたキャンペーンをアカウント・グループに示します。
最後に、ビル・バーンバックのもとへ持って行きます。
これがすべてです。
DDBには見る人すべてを喜ばせるかどうかをチェックする──その結果、だれにも何も訴えないようなキャンペーンをつくり出す結果になるのですが──クリエイティブ・レビュー・ボードのようなものは存在しません」
ということになるわけですが、アクリラン・チームの場合は、再度、ペア・チームの会談のやり直しが命ぜられたわけですから、2人はまた、アートディレクターの個室に帰ってドアをしめます。
そして、テラー嬢がこういいました。
「ねえ、品質管理というコトバがディーラーにとってどういう意味を持っているか語ったら、どうかしら?
それは、消費者が満足するということでしょ。
返品が少なく不平も少ないということをテーマにした広告は、どうかしらね?」
03-26 DDBは目標になっている
グリーン女史が「いつかDDBで仕事をしてみたい、DDBで要求されているような水準の仕事も、私ならやれる自信がある」とは思っていても、「十分に実力がつくまでは入社運動をすることができなかった」といっていたことを先に紹介しました。
「自信家」の異名を持つアートディレクターのロイス氏でさえ、
「そう、DDBには、長年、はいりたいと思っていたんです。
向こうからも誘いがありましたしね。
でも、まだ自分自身の準備が整っていないと思ったものですから…もっと勉強してから…と考えていました。
DDBにはいった時は、よい仕事をするための準備ができたつもりでした」
と、私に告白したほどです。
とにかく、DDBはアメリカの広告制作者の目標になっているのです。
そして、よい仕事がよい人材を引きつけ、さらに彼らがよい仕事をして…といった循環がつくり出されるわけです。
そこではもはや、人材を集めるための苦労はなく、ただいかにして選ぶかが問題になるわけです。