創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

DDBの広告

(141)フォルクスワーゲン・ビートルの広告(53)

2,3年も乗ってれば、すてきに見えてきます。 「不格好---ですね?」 「つまらない」 「つけたりも、いいところだ」 「笑いのタネだね」 「ずんぐりむっくり」 「ブタちゃん」 『ニューヨーク』誌いわく「ところでVWだが、ほかのどの車よりも価値が下がない。1…

(140)フォルクスワーゲン・ビートルの広告(52)

不恰好なのは、外観だけで---。 見ばえはあんまりよいとはいえません。でも、この質素な外皮の内側では、空冷式エンジンが息づいているのです。沸騰してピストン・リングを台無しにすることもありません。凍結して泣きたい思いさせません。後車輪の上に載っ…

(139)フォルクスワーゲン・ビートルの広告(51)

フォルクスワーゲンについてのジョークを最近、お聞きになりましたか? ボンネットを開け、エンジンを盗まれている!---と早合点なさったご婦人を覚えていらっしゃいますか? ガソリンや冷却水をどこに注入していいのか分からなかったガソリン・スタンドマン…

(138)フォルクスワーゲン・ビートルの広告(50)

完全無欠な人って、いるわけきゃない! Nobody's perfect. DDBロサンジェルス支社の制作のロード・サイン(車運転者向けの屋外看板)。 この名セリフ、映画『七年目の浮気』で口にされたと、和田誠さん『お楽しみはこれからだ パート?』(文藝春秋)にあった…

(137)モービルの安全運転キャンペーン(23)

書庫の隅から1冊の原書が出てきた。”Advertising in American 米国における広告” 著者はスタンレイ・M・ウラノフ氏 Stanley M. Ulanoff ニューヨーク市立大学バルク校広告学科教授---内容は広告全般の概論で、購入した記憶がまったくないから、いただいたも…

(121)ソニーテレビの広告(了)

Peace on earth (地には平和を)--kitaroさんのDVDもあるし、小松左京さんに新風舎文庫もあることはわかっているのだが、原典は『旧約』だったようなおもいがしきりにするので---。ご存じの方、お教えいただきたく。記憶がはっきりしないと、喉にささった小骨…

(120)ソニーテレビの広告(23)

引用図版の左上に、ラーメンの切れっぱしのような汚れがついているのは、反射光です。46年ほど前から10年間ほど、米国雑誌から選んで切り抜いた広告を、志を同じくしていたカメラマン・林宏樹さんが35mm白黒フィルムに只ばたらきで記録してくださっていたの…

(119)ソニーテレビの広告(22)

ピッツバーグのヨーコムさんの家に滞在した時、同家の夫人から新流行の「テレビ・デイナー」の存在を教えられたのは、丁度、この広告がつくられた1968年ごろだったように記憶ている。そのころ、米国の主婦はパートなんかで働いて、子どもには「テレビ・ディ…

(118)ソニーテレビの広告(21)

国情の違い、というのがあります。時代の差、もあり、野球対バスケかも。でもまあ、ヨーロッパ系モデルで少数派の設定---。 サッカー・ファンのソニー The Sony for Soccer Fans When your taste runs to the unusual you shouldn't share a TV set. You sho…

(117)ソニーテレビの広告(20)

思わずヒザを打つ、その前に先ず、あたりを見回し、見ている者がいないことを確かめてから、打ちましょう---書かれていることがホンネで、真に共感・納得したとしても。ただ、読んだことに共感したと、口外してはいけません。口外すると口害を呼びこみかねま…

(116)ソニーテレビの広告(19)

広告のクリエイターは自分の体験を大切にしよう---とすすめたのはDDBで数々の名作を創ったコピー・チーフのフィリス・ロビンソン夫人(インタヴュー参照)。かの傑作TVCM[動物園](YouTube参照)もひとり娘と夫の共演で生まれた。いたずらがすぎて晩御飯を…

(115)ソニーテレビの広告(18)

あなたも、だんだんに理解してきましたね。世の中には、天邪鬼(あまのじゃく)と称される種族がいて、右といえば左を向き、楽しい場では泣いてみせる---。悪意があるわけじゃなく、人生に厚みと彩りをもたらしている種族だということが。ま、いってみれば、…

(114)ソニーテレビの広告(17)

現代人は疲れているか?---35年前もそうだったか?---この写真は真実を伝えていたか? 美人ニッコリは人生の真実か? 人は、自己弁解をする動物ではないのか? 「忙しすぎるんだよね」 「夜はつきあいの呑み会があるし」 「テレビも見ないと流行に遅れるし」…

(113)ソニーテレビの広告(16)

〔釘づけ〕とか〔金(かな)しばり〕なんて表現がある。その状態を日常のものを使って視覚化するとしたら? その一つが床屋の椅子、それとテレビの前---落語のオチみたいなクリエイティビティ。38年前のことです。そうそう、サン・セット・シリーズの8インチ…

(114)ソニーテレビの広告(15)

ヌーディストをあしらったこの広告の受難と功績を拙著『売る』(日本経済新聞社 1971.3.10 絶版)に書いている。サン・セットという愛称の移動型テレビのものであることは、当ブログの常連の方はすでにご存じ。事件は1967年に起きた。この広告の掲載を『ニュ…

(113)ソニーテレビの広告(14)

割り込みです。 昨日、ご紹介した拙著『売る』(日本経済新聞社 1971.3.10刊 絶版) の「新しい生活習慣を売る」の項に、「ソニーテレビは寝室テレビ?」という文章ブロックがあったので、広告企画の実例として引用します。 とにかく、ソニーはラッキーにも…

(112)ソニーテレビの広告(13)

この回も8インチのサン・セット。 ところで、拙著『売る』(日本経済新聞社 1971.3.10刊 絶版)の「新しい生活習慣を売る」の項に、こんなことを書いていた。 米国ソニーの最高責任者であった盛田昭夫副社長が直々に広告代理店としてDDBを選んだ。1963年のこ…

(111)ソニーテレビの広告(12)

40年前、米国でも一家に2台のテレビとか、個人ごとにテレビ---なんて考えもしなかった時代の、目を見はるように新しい提案だった。クロンカイト氏(Walter Cronkite)は当代一流の解説者、ダフィーは大人気のマンガ・キャラ---それと並んだソニーも、テレビ・…

(110)ソニーテレビの広告(11)

ソニー・サン・セットの掲載順を推定した昨日のコンテンツのコメント欄に、「日向、夕暮れ、陽光あび、密室、夜---ときたつぎに、あなたがつくるとしたら---?」と書いておいた。書き込みゼロ! 考えるベースは、サン・セットのプロスペクト(見込み客)であ…

(109)ソニーテレビの広告(10)

いまは、液晶とかプラズマで、画面の大きさを競っています。デジタル大画面で観るにたるだけの番組とCMをつくってほしいものです。40年前は、テレビを小さくすることが課題でした。そう、腕時計ほどの大きさに。ケイタイのいまからみると、ウソみたいな話で…

(108)ソニーテレビの広告(9)

もしかしたら、サン・セットTVの広告の掲出順序を間違えていたのかもしれない。つい、興味を惹く絵柄を、とおもったもので---。これが最初のほうかも。もっとも、ほんとうのトップ・バッターは明日掲出しますが。その時、これまでのサン・セットTVの広告を出…

(107)ソニーテレビの広告(8)

DDBのソニーであれ、VWビートルであれ、広告のタブー破りに、あえて挑戦することを楽しんでいるように感じる。もちろん、クライアントも同じように話題になることを楽しんくれないと、成功はおぼつかない。この広告は”サン・セット”という陽光の下でも画像が…

(106)ソニーテレビの広告(7)

DDBによるソニーのマイクロ・テレビの広告は、すでに5,6点掲出している。ところが、広くもない倉庫の隅から、すっかり忘れていた12,3点がでてきた。いまは液晶の大型画面がウリだが、40年ほど前、DDBのスゴ腕たちは、テレビの楽しい見方を独創していた。〔塀…

(105)フォルクスワーゲン・トラックの広告(4)

一見、「なんだろう」という写真だが、載っけているのが、ヘッドライン(見出し)の「1,600ポンド」---ほかの半トン・トラックが必ず装備している「フレーム(台枠)」「ドライブシャフト(駆動軸)」「ラジエータ」「フード(前部ボンネット)」とわかると…

(104)フォルクスワーゲン・トラックの広告(3)

「なんだろう?」と思わせるのを、広告では、attention getter という。しかし、訴えようとしている製品、サーヴィスから離れたところから導くのは、トリックと呼ぶ。このVWトラックは、正攻法の「なんだろう?」とおもわせる写真なので、へッドライン(見出…

(103)フォルクスワーゲン・トラックの広告(2)

今日から3回、トラックの広告を紹介します。ステーション・ワゴンの基礎に、トラック仕様をの載せたもののようです。そうそう、すでに2008年4月23日に、ついでの形で紹介しています。 商売がうまくない時にこそ、威力を発揮します。 このトラックは、あなた…

(102)フォルクスワーゲン・ステーション・ワゴンの広告(28)

5月10日のDMにつづいてステーション・ワゴンの性格づけ。こちらはDDBロサンジェルス支社のクリエイティブ・チームがつくったロード・サイン(街路大型ポースター)。多分、写真はNY本社がDM用にでも撮影したものの転用と推察。

(101)フォルクスワーゲン・ステーション・ワゴンの広告(27)

この広告もカラーです(カラーの分の見方は下記の【おすすめ】に)---。2つばかりの内輪ばなしを。”Mrs.Wells”は、あの、メリー・ウェルズさんが、まだDDB在職中だったことを思い出してください。2つは、ボディ・コピーの組み---達人ヘルムート・クローン氏…

(100)フォルクスワーゲン・ステーション・ワゴンの広告(26)

[息抜きタイム]がついに100回! 「ほう、その手があったか!」「やるもんだね!」と軽く受け取っておくのだが、いつしか躰のすみずみの血行に効いている---ヴィタミンEみたいなコーナーのつもりでやってきました。今回はVWステーション・ワゴンのDM(ダイレ…

(99)フォルクスワーゲン・ステーション・ワゴンの広告(25)

天才的アートディレクター・ジョージ・ロイス氏の若いころ---DDB在職時の作品を紹介しています。きょうのこれも、カラー写真なんですが、オリジナルが行方不明なので、モノクロです。同じ写真がダイレクト・メールにも転用されています。DMのほうにはさらに…