創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

(640)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(32)

・ハーツが広告代理店を、新進のカール・アリー社に変え、新しいキャンペーンを準備中にも、 エイビスは、これでもかと、挑戦的な姿勢をくずしません。 マジソン街はもとより、業界ニュースをもれ知ったヤンキースたちも興味津々で ハーツの出方を見守っていま…

(639)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(31)

・これまで、ハーツを名ざしはしないでNo.1とだけいってきたが、ここで、ハーツの広告のメイン・イラストレイションである、航空機で出張してき、空港でレンタカーを借り受けるビジネスマンを戯画化し、名指したも同様の表現をとった。 No.1としても、黙視で…

(638)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(30)

・どうしたことでしょう? これは、1965年12月11日に掲載されたのと同じ原稿です。 4ヶ月たたないで再掲載。 あなたの推理は? 画面の2ヶ目の原稿は、"The NEWYORKER" 誌ではなく、他の雑誌に載ったもの。 エイビスは2位にすぎません。 だからといって、 …

(637)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(29)

・ ついに、やりました。 いつかは、やるテーマでしたものね。 日本スタッフの訳は、「私たちはもっと頑張ります」 政党家が集会をしめる最後は「頑張ろう!」、 スポーツマンが咄嗟のインタヴューに応じ、「頑張ります」 きまり言葉です。 どこを、どう、頑…

(636)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(28)

・江戸幕府にもいましたねえ。目付、徒(かち)目付、小人(こびと)目付、その下の小者の徒押(かちおし)たち。 そして、庭番 江戸郊外の鷹狩場の鳥見役、定飛脚屋、吉原遊郭のお茶屋もその仕事をしていたとの説もあります。 『鬼平犯科帳』だと、密偵おま…

(636)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(27)

・ 「エイビス・ファンド(基金)」なんてものが、現実にはあるはずがありません。 エイビス社は、レンタカーの営利私企業です。 それなのに、エイビス・カラー(赤)で「エイビス・ファンド」と書かれた寄付金缶が置かれています。 寄付金を出しなれしているア…

(633)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(25)

・旧著『売る−−ヒット・キャンペーンの内幕−−』(日本経済新聞社 1971.3.10)は、経営者層向けに[シグネチャー]誌に1年有余連載し、手を入れたものです。もちろん、エイビス・キャンペーンにも触れています。 その中に、広告キャンペーンになにかと口を出したが…

(634)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(26)

昨日送られてきたばかりの定期購読誌『ニューヨーカー』を通勤列車の席でひろげたある会社の幹部は、その広告をみた瞬間にドキッ、思わず眼鏡を落としたといいます。 そこには、(当時、冷戦中だった)ソ連、あるいは共産主義者であることを示すような、鎌(…

(632)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(24)

●これは、実話なんです。 代わったばかりのコピーライターのハーツブロン氏とアートディレクターのクローン氏が、エイビスの最高責任者であるタウンゼント氏に会うので、ロング・アイランドのガーデン・シティにあるエイビス本社へ行くために借りた車の灰皿は…

(631)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(23)

・4日前---9月17日に掲示したばかりの広告原稿だから、覚えていらっしゃる方が多いはず。 (もっとも、毎日アクセスなさっている方はほんの200人前後で、1週間分をまとめ読みって方も少なくはないみたい。 ほんとうは、これだけの超一流---年に何本もお目…

(630)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(22)

・ 貸し出しの中心車種が、ピカピカのフォードからプリムス(クライスラー系)に変わりました。 資本の系列でも変わったのでしょうか。 そういう説明は一切なし。 いろんな車種をそろえているはずですから、プリムスから広告補助金でもでているんですかね。 …

(629)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(21)

・DDBは、「同じ広告原稿は2度は使わない。新規につくった広告原稿のほうが、よりよい出来のはずだから」と公言していた時期がありました。 クリエイターの力がありあまっていたのかもしれません。 クリエイティブを売り物にしていた代理店だったからかも…

(628)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(20)

●エイビスの愉快な悪だくみ エイビスは、巧妙にハーツをNo.1主義の会社に仕立ててしまいました。 けれども、ハーツが業界の1位である事実と、No.1主義をとっているかどうかということとは、別の次元に属することです。 いろいろ調べてみましたが、ハーツ…

(627)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(19)

この広告は、スゴイ!!! 当時の為替レイトは固定相場で、1ドル=360円でした。 アメリカ東海岸への航空運賃は、片道30万円ほどしていたような。このノベルティ・バッジの制作費は1ヶ2.5セント=9円。 それを500万ヶ。12万5000ドル=4,500…

(626)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(18)

・ 「---でなければ、ペナルティを払います」というのは、別に新しい広告手法ではない。 しかし、「エイビスがお貸しした車が、あなたの愛車より手入れが劣っていたら、1/4ドル(クォーター)をその場で払います」というのは、いかにもあぶなっかしい。 客側…

(625)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(17)

●話題は多く提供してこそ--- 「鉄のカーテン」と呼ばれた目には見えない壁が、政治と経済の形態が異なる地域を2分していました。 そのカーテンは、ゴルバチョフ氏の出現で幕引きされました。 「鉄のカーテン」が厚く不透明であったころ、誰がモスクワの「赤…

(624)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(16)

●「レンタカー広告規制」を提案 タウンゼント社長は、「2位」キャンペーンの成功例をひっさげ、1964年夏、「レンタカー広告規制」の実施を働きかけました。 この規制は、賃貸料と借用時間などを明示する義務と同時に、競争会社の値段、サービス、品質に…

(623)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(15)

● 1年間以上も衰えなかった"We try harder"バッジの人気 きょう、掲出した広告は、このシリーズの第6回目、1963.11.23号の『ニューヨーカー』誌に掲載されたものと、一行一句、異なりません。 アンコールのわけは、"We try harder"バッジの人気---(ある…

(622)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(14)

指を2本立てた、No.2のキャンペーンが始まったのは、"The NEWYORKER" では、1963年5月16日号からでした。 これは、1964年10月3日の"The NEWYORKER" に掲載されました。 約1年半経過、14番目の広告です。 ニューヨーク市での売り上げは、最初の1ヶ月で5…

[6分間の道草(臨時篇)]米国マディソン・アベニューの黄金時代の広告

(財)吉田秀雄記念事業財団の季刊誌『AD STUDIES』2010年夏号に寄稿した上記タイトルの原稿です。 khalki さんから、同号の全ページが同財団のHPにアップされたとのコメントをいただいたので、解禁と判断し、ぼくのエッセイの全文を再録します。 khalki …

(621)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(13)

キャンペーンを傘下の営業拠点の人びとへ周知・徹底させるために、タウンゼント社長も自ら巡回に参加し、こんな説得まで行ったようです。 「皆さんご存じのとおり、当社は、13年ものあいだ、赤字つづきでした。 皆さんが、正当と思う賃金を支払われていな…

(620)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(12)

●社長を電話で呼び出せ 秘書システムが発達し、完成しているアメリカで、社長が直接に電話に出るという事実自体が破天荒です。 このアイデアが、タウンゼント社長から出たのか、社長就任と同時に専任秘書を廃止したタウンゼントを見てDDB側が提案したのか…

(619)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(11)

【楽屋ばなし】ここまで、いかにも順調にキャンペーンが進行したみたいに記述してきましたが、あらためて集めた資料で楽屋を覗いてみると、グリーン夫人の交代もふくめて、いろいろ挫折があったようです。 まず、「エイビスは業界で2位にすぎません」という…

(618)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(10)

【プレイ・バック】 1966年5月に来日したバーンバックさんは、10日の日経ホールでのスピーチで、エイビス・レンタカーのキャンペーンの中のこの広告をスライド映写し、次の解説を付した。 自分自身に不利なこと、表面的にはマイナスになるように感じられること…

(617)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(9)

● エイビスは、バイク遊覧がアイデアの基 エイビス・レンタカーの社史をくだくだ述べてもあんまり意味はないでしょう。 しかし、これが戦後に生まれた会社であることと、システムであることは知っておいても無駄ではありません。 大衆旅行意欲とビジネスの広…

(616)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(8)

● ライターの突然の交替の謎 あるとき、ヘルムート・クローン氏の作品群を『アイデア』誌に紹介するとき、氏自身の手でプロフィールを書いてもらったことがありました。 「VWビートルとエイビスの広告のアートディレクターとして知られています」とだけ書き…

(615)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(7)

● コマーシャル攻勢を軽くかわす エイビスの「2位」キャンペーンが感情面(判官びいき)でも社会現象面(流行語)でも現実の営業面(売り上げと利益)でも、急速に効果をあげてきますと、ハーツにしてみれば「1位」であることが、なんだか悪いことをしてい…

(614)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(6)

● 広告が一つの会社を変化させ、進歩を助けた稀な例 主たる訴求対象はビジネス・ピープルでした。 彼(女)たちをねらったのは、短期レンタカー(たとえば、空港→市内とか、短期滞在の出張先とかで、1時間からIヶ月間利用する)の客は、彼(女)らが中心に…

(613)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(5)

● 売り上げは約3.5倍 キャンペーンの効果は、売り上げの目に見えての上昇、利益の増大となってあらわれてきました。 わずか2ヶ月で赤字を解消したばかりか、逆にいくらかの黒字を計上してしまったのです。 ニューヨーク地区では、わずか1ヵ月のあいだに…

(612)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(4)

資料を見つけました。 シリーズ(3)とこの(4)、そして(5)は試作というか、最初にヘルムート・クローン氏(A/D)とポーラ・グリーン夫人(C/W)が創りあげたキャンペーンだったのです。 もちろん、"We're only No.2." も"try harder."も謳われています…