創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

(427)ヘルムート・クローン氏のスピーチ(了)

【用法】 ある人物を評価するに際して最も簡単で確実な方法は、その人物がどのような人々とつきあっているかを見ることである。 なぜなら、親しくつきあっている人々に影響されないですむ人など、ほとんど皆無と言ってよいからである。 (塩野七生『マキャヴ…

(426)ヘルムート・クローン氏のスピーチ(3)

【用法】 恋を治す薬は幾つもあるが、間違いなく効くのはひとつもない。(『ラ・ロシュフコー箴言集』岩波文庫)(chuukkyuu補:広告づくりの妙手は多くの人が説いているが、その説者がすばらしい広告を創った例は極めて稀であろう。少例のひとつが、バーンバ…

(426)ヘルムート・クローン氏のスピーチ(2)

【用法】 兵(へい)は形(かたち)を水に象(かたちど)る。水の行(こう)は高きを避けて下(ひく)きに走る。兵の勝(かち)は実(じつ)を避けて虚(きょ)を撃つ。故(ゆえ)に水は地に因(よ)りて行を制し、兵は敵に因りて勝を制す。(『孫子』) (c…

(425)ヘルムート・クローン氏のスピーチ(1)

【用法】 クリエイターとしてのベテランは1錠---すみずみまでの効き目を感知できる人だから。トレイニーは3錠(3日分)---奥の奥までの効用を察するにはまだまだだから、多くを体験する必要がある。 秀でたクリエイターでTV-CM研究家でもある畏友・金…

(424)ジュリアン・ケーニグ氏[名誉の殿堂]入り(了)

【用法】薬効は「他言無用」---とあったら、親友には「ここだけの話」とささやけ、ということ。薬効「絶大」---とあったら、効き目は薄いということ。(パーキンソンの偽法則) 米国の広告人をインタヴューしたときのぼくは、あるときはコピーライターとして…

メキシコの小石の人形と伝説のELAL広告

昨3月25日のオフィスでの始業前10分クリエイティブ・センス・アップ・ミーティングは、メキシコ中部の町サン・ミゲル・デ・アリェンデの教会前で買った小石の人形のアイデアと、20世紀の広告表現を1950年代初めに一変させた、ELALイスラエル航空の海の写真を破り…

(423)ジュリアン・ケーニグ氏[名誉の殿堂]入り(3)

【用法】「先月末---ほんとうにびっくりしました。----ボスがもう少しで私に劇薬(クビ)を呑んだら、と言うところだったんです。(−−−実際に米国で使われた通販用のこのヘッドラインには、きわめて強い反応があった。毎朝、始業前にこれにアクセスすること…

(422)ジュリアン・ケーニグ氏[名誉の殿堂]入り(2)

(↑★は、賛成票で、拍手で、あなたの温情の表現) 【用法】このクスリ(ブログ)は、「長」とか「務」とか「役」がついている部位から効いてこないと、下は通りが悪くて苦しみます。「長」とは「怪腸」「瀉腸」じゃなく「会長」「社長」「営業本部長」などな…

(422)ジュリアン・ケーニグ氏[名誉の殿堂]入り(1)

【用法】このブログ、クリエイティブ組織の中の一人だけが服用していると、その人にイライラ症状がでてきます。できるだけ全員で服用するように、声をかけあいましょう。 この4日間にわたって紹介した、ケーニグ氏のニューヨーク広告ライターズ協会でのスピ…

A Speech by Mr. Julian Koenig(2-4)

Mr.Julian Koenig president of Papert Koenig Lois Inc. to the Advertising Writers Association of New York April 19. 1966 We are a business of amateurs, and it's all up for grabs, all of exercising our democratic right to be wrong. Instead o…

(421)ジュリアン・ケーニグ氏のスピーチ(2−了)

【用法】このブログを1日1回服用していると、クリエイティビティが補強されます。少なくとも、センスは確実にアップします。 はじめに記したように、この2つのスピーチは、拙編著『アンチ・マジソン街の広告代理店 PKL』(『ブレーン』別冊 1967.7.20)…

A Speech by Mr. Julian Koenig(2-3)

Julian Koenig president of Papert Koenig Lois Inc. to the Advertising Writers Association of New York April 19. 1966 At the risk of having the Mafia follow me through the corridors, I remind you that in the beginning was the word. When you…

(420)ジュリアン・ケーニグ氏のスピーチ(2−3)

コミュニケーション・ツールの発展はすごいですね。ケーニグ氏のこのスピーチ草稿は、もちろん、ぼくの要請により、氏の秘書からタイプ打ちのもののコピーが郵送されてきました(いまなら、一瞬のうちに電子メールで届くでしょう)。受け取ったぼくは、「白い…

A Speech by Mr.Julian Koenig(2-2)

Julian Koenig president of Papert Koenig Lois Inc. to the Advertising Writers Association of New York April 19. 1966 Mencken wrote that nobody ever went broke underestimating the taste of the American people and years of advertising devote…

(419)ジュリアン・ケーニグ氏のスピーチ(2−2)

きょうのスピーチ内容には、ちょっとした補足が必要なようです。 「広告はアート(一種の技術)である」と喝破したDDBのバーンバックさんへの反論とおもわれやすいからです。バーンバックさんがつねづね言ったのは、広告する製品について言うべきよりよい…

A Speech by Julian Koenig(2-1)

Julian Koenig president of Papert Koenig Lois Inc. to the Advertising Writers Association of New York April 19. 1966 Will you forgive me if I bite the hand that has fed me? In 1959, the first year of VW advertising which included such ads …

(418)ジュリアン・ケーニグ氏のスピーチ(2−1)

この年(1966)、ケーニグ氏はコピーライターたちの団体から「名誉の伝堂入り」を指名されました。オグルビー氏やバーンバック氏につづいての氏名でした。これは、授賞返礼のスピーチです。前回の同団体へのスピーチから6年目の第2回目のそれでした。(ケー…

ランジュ・ド・メゾン

【chuukyuのおまけ】オフィスでやっているクリエイティブ・センス・アップ・ミーティング---きのうは、特別の部で、終業後6時から45分、日本になかったコンセプト---ランジュ・ド・メゾンについて、ポルトー(D.Porthault)製の金刺繍の12人掛け用大判テーブル…

(417)ジュリアン・ケーニグ氏のスピーチ(了)

パパート・ケーニグ・ロイス(PKL)社社長 1961年11月9日 全米広告ライターズ・クラブで。 <<ジュリアン・ケーニグ氏のスピーチ(1) きのう、こちらのサイトで、ジュリアン・ケーニグ氏、エド・マケイブ氏、そしてジョージ・ロイス氏の近況を伝える写真を見た…

A speech by Mr. Julian Koenig (3)

president of Papert Koenig Lois Inc. The Advertising Writers Club November 9, 1961 <

A speech by Mr. Julian Koenig (2)

president of Papert Koenig Lois Inc. The Advertising Writers Club November 9, 1961 <

(416)ジュリアン・ケーニグ氏のスピーチ(2)

カステラが1本あります。10等分の印をつけ、1日1ヶ、10日分の美味しいおヤツ---と決めたはずなのに、つい、つい、1日に「もう1ヶはいいだろう」と自分に許して手をつけてしまいます。そしてもう1ヶ---。 美味しいものは、じっと我慢しましょう。こ…

A speech by Mr. Julian Koenig(1)

president of Papert Koenig Lois Inc. The Advertising Writers Club November 9, 1961 This is the first invitation to speak I've accepted---not because I have any significant pronouncementto make, because I don't. I'm here because you are all…

(416)ジュリアン・ケーニグ氏のスピーチ(1)

1960年のあのころ、マジソン街には、熱風が吹きあれていた。くだらない広告に飽き飽きし、自分の才能を信じて自分流の広告代理店を設立するという---革新の熱風が。 そのなかでも、もっとも温度の高かったのが、PKLであった。なにしろ、彼らは30代…

[効果的なコピー作法](12-了)

後送りしたままになっている、第8章 コピーのユーモア と、第11章 コピーの信頼 は、近いうちにアップして完結させましょう。 >>[効果的なコピー作法]目次 第12章 銘柄の区別(了) 「きれいで無邪気な、 水のお嬢さん なんという自信屋さんだろう」 「…

[効果的なコピー作法](12-3)

2年以上、1日も休まずに、つづけています。資料はあるのですが、ネットにあげる技法に未熟で、多くの方に教わりながらつづけてきました。atsushi さん、fuku33 さん、einen さん---。 たとえば、きょうの、ツイストやオリーブのセリフにも色をつけたいので…

[効果的なコピー作法](12-2)

今朝、東京は夜来から音をたてた強風で、しかも、雨。2時半から引例図版の、トマトやオレンジ、オニオンのセリフの配置に四苦八苦。でも、定例の朝の早足ウォーキング(冬場は6時半〜7時 6km/毎時)が雨のために欠けるので、じっくりと取り組めました。…

[効果的なコピー作法](12-1)

第11章 コピーの信頼 をあとまわしにして、第12章を先にしたのは、この章に引いた広告のコピーライター---ジュリアン・ケーニグ氏(写真)のスピーチを、この4,5日あとにもってきたかったからです。 しかし、躊躇もしました。スクラップしておいたはずの広告が…

(415)ベントン&ボウルズ社(了)

『マジソン・アベニュー』誌から(3) すべての企業が、将来へむかっての長命を望むように、広告代理店だって短命でいいわけはない。打つべき手をぬかりなく打つのが経営者の務めであろう。 さて、B&B社のハンペル氏起用のカンフル注射の結果はどうなった…

(414)ベントン&ボウルズ社(2)

『マジソン・アベニュー』誌から(2) この記事は、ぼくがアル・ハンペル氏をインタヴューしたのと、ほとんど前後して取材されたと推定されます。コピーライターの先達として個人を取材したものと、クリエイティブ改革の目で組織を取材したものとの差を比較し…